不動産投資にはリスクが多いといわれる所以は何なのでしょうか。
本記事では不動産投資に伴う基本的なリスクとその対策を解説していきます。失敗しないためのポイントを押さえて、不動産投資にチャレンジしましょう。
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不動産投資の基本的なリスクと対策
不動産投資には複数のリスクが存在しますが、適切な物件選定を行うことで、リスクを低減することが可能です。
ここでは、想定されるリスクの種類と、具体的な対策方法についてご説明していきます。
価格変動リスク
投資用不動産は、築年数の経過による家賃の下落や、建物が経年劣化することによる価値の低下、また、築年数が古くなることによってローン付けが難しくなり売却しづらくなる、といった要因で、時間の経過と共に価格が下がる可能性があります。
また、不動産は相対取引のため、需要と供給のバランスで価格が決定されます。
ニーズの少ないエリアや間取りを選んでしまうと、将来の売却時に思ったよりも高く売れず、場合によっては売却価格がローン残債を下回ってしまい、手元資金の持ち出しが発生してしまうケースもあります。
こうしたリスクを避けるため、具体的には、下記のポイントを抑えた物件選定が重要になります。
①「土地」の価格が担保されている
土地は経年劣化しないので価格が一定的です。
物件価格に占める土地値の割合が高いほど、価格の下落リスクは低いと言えます。
ただし、ここで言う「土地値」とは、単に「土地の坪数×そのエリアの坪単価」で計算するのではなく、「実際にマーケットで取引されるであろう価格」で考える必要があります。
エリアは勿論、土地形状や道路付き、用途地域などによって、
- 住宅用地として個人が買う
- 建売用地として業者が買う
- 事業用地として法人が買う
といった出口戦略が異なるため、見極めが重要です。
②「建物」の状態が良好に保たれている
建物の劣化は価格の下落に直結する要因です。
- 外壁塗装などの修繕がなされているかどうか
- 雨漏りなどの不具合が起きるリスクが無いかどうか
といったポイントの見極めが重要です。
③賃貸ニーズのあるエリア・間取りである
- 家賃の下落
- 空室率の増加
はどちらも物件価格の下落に繋がります。
経年による家賃の下落は避けられませんが、賃貸ニーズを捉えたエリア選定と間取り選びで、リスクや下落幅を軽減することは可能です。
人気のあるエリアを選ぶのはもちろんのこと、競合物件と差別化できている間取りかどうかも重要なポイントです。
例えば、狭小のワンルームマンションが乱立するエリアであれば、単身物件でも30〜40㎡と広さのある1K・1LDKの間取りを選んだり、ファミリー層が住む住宅街であれば、敷地内に戸数分の駐車場が確保されている物件を選んだり、といった方法で差別化を図ることが重要です。
家賃滞納リスク
入居者による家賃滞納が発生すると、収支計画に大きな影響を及ぼします。対策として、下記の方法が有効です。
① 保証会社を利用する
入居時に家賃保証会社を利用することで、滞納が発生しても保証会社による立替えで賃料を回収することができます。
また、長期滞納時には一定額まで立ち退きの訴訟費用を保証する保証会社もあるため、最悪のケースでも、大きな負担なくリスクを低減することが可能です。
②賃料水準を高く保つ
一概には言えませんが、一般的に、賃料が安いほど入居者の質は低下する傾向にあります。
前述のように、建物の状態が良好に保たれ、競合と差別化された間取りの物件であれば、賃料を高く保ち入居者層の良質化を図ることが可能です。
天災リスク
火災や地震、水害といった天災リスクも考慮する必要があります。具体的な対策としては、
- 物件選定時に自治体発行のハザードマップを確認すること
- 適切なプランで火災保険に加入すること
で、ある程度のリスクヘッジを図れます。
修繕リスク
建物の経年劣化に伴い、修繕はつきものです。
避けられない支出ではありますが、予期せぬ出費を抑えるために、購入前に下記事項の確認を行うことが重要です。
① 建物の状態・修繕履歴
外壁や共用部に経年劣化が見られないかどうか、各部屋の給湯器が古い物ばかりでないかどうか、といった建物状態の確認と、直近でどういった内容の修繕履歴があるかの確認を行うことで、今後起こりうる修繕のリスクを把握することが可能です。
②長期間入居している賃借人が多くないかどうか
入居期間が長いほど、退去時の修繕費用は高額になります。
利回りが高く満室の物件でも、長期間入居している賃借人ばかりだと、結果的に修繕費がかさんでしまうリスクがあるため注意が必要です。
ローン金利上昇リスク
変動金利型のローンの場合、借入期間中に金利が上昇するリスクがあります。
- 自己資金を多く投入し、借入総額を抑える
- 繰上返済を行い、ローン残債を減らしていく
といった方法でも対策が行えます。
しかしながら、レバレッジ効果で自己資金に対して何倍もの借入を起こすことができ、賃料収入で安定的に残債を減らしていくことができる、というのが不動産投資の最大の強みです。そのため根本的な対策としては、やはり「土地の価格」にフォーカスした物件選定が最も有効だと考えられます。
管理会社倒産リスク
管理を委託する場合、委託先の管理会社が倒産してしまうと、入居者とのトラブルや、家賃が回収できないといった事態に繋がります。
- 管理戸数が多く、実績がある
- 既存の管理物件の管理状態が良好である
といったポイントで管理会社選定を行うことが重要です。
不動産投資のメリットとは?資産運用の魅力を解説
不動産投資には、リスクだけではなく、大きなメリットがあります。ここでは、代表的なメリットについて解説していきます。
節税効果がある
不動産を購入することによって、所得税(もしくは法人税)・相続税の節税効果が得られます。
所得税に関しては、建物の減価償却費を利用して利益を圧縮することによる節税スキームです。
代表的な例としては、下記のパターンが挙げられます。
- 築古の物件を購入
- 建物を短期間の年数で減価償却することで、単年あたりの減価償却費を大きくとる
- 利益を圧縮し課税額を抑える
相続税に関しては、現金よりも不動産の方が相続税評価額が低くなることを利用した節税スキームです。
1億円を現金で相続するよりも、1億円で不動産を購入して相続する方が、相続税額が安価になるケースがあります。(ローンで購入する場合は更なる節税効果が見込めます)。
ただし、減価償却や相続税の圧縮効果を重視するあまり、そもそも物件自体の収益性が低かったり、出口戦略が不透明な物件選定をしてしまっては本末転倒ですので、両立できる物件選びが重要です。
現物資産である
不動産は現物資産であるため、金融資産と比較して下記のメリットがあります。
- インフレに強い
- 価格の変動性が低い(≒土地は価値が落ちにくい)
家賃収入を得られる
現物資産でありながら、家賃収入というインカムゲインを得られることが不動産投資のメリットです。
また、金融資産と比較すると、前述のエリア選定や間取り選びを適切に行うことでリスクコントロールがしやすい、という点も大きな特徴です。
借り入れによるレバレッジ効果が期待できる
不動産投資では、購入する不動産を担保とすることで、手元の資金に対して何倍もの借り入れを起こすことができる、レバレッジ効果が働きます。
現物資産であることから、最低でも土地の価格分は価値が担保されているため、FXのように大幅に元本割れしてしまうリスクも少ないです。
さらに、家賃収入を得られるメリットを組み合わせることで、大きな利益が狙えます。
例えば、
- 物件価格:1億円
- 実勢土地値:8,000万円
という投資用物件を全額ローンで購入すると想定します。
※実勢土地値:実際に売却する場合に売れるであろう「土地」の価格
本来ローンの返済には手元資金を充当しなければならないところを、不動産投資であれば家賃収入を返済にあてることで、手元の資金を大きく減らすことなく、場合によっては月々手元にキャッシュフローを残しながらローン返済を進めることが可能です。
上記の物件を数年運用し、ローン残債が仮に5,000万円まで減った場合、そのタイミングで売却すると、実勢土地値との差額3,000万円が利益として残る、というようなイメージです。
(実際には、購入時にかかる諸費用や、運用期間中の支出、売却する際の建物解体費なども加味する必要がありますが、ここでは大枠のイメージを掴んでいただければと思います)。
不動産投資で失敗しないためのポイント
不動産投資は他の投資と比較するとリスクコントロールが行いやすいです。見極めるべきポイントがしっかり把握できていれば、リスクを抑えてリターンを得ることが可能です。
自身の投資スタンスを明確化する
不動産投資には”正解”はありません。
弊社では、より安全性、安定性の高い不動産投資を第一にご提案しているため、特に「土地値」や「安定運用できるエリア・間取り」にフォーカスした物件選定を行っていますが、郊外で高利回りの物件を購入し、運用期間中にキャッシュフローで稼ぎ切り、適切なタイミングで売り抜けることで利益を出す、というのも投資手法の1つです。
大切なのは、自身が不動産投資を行う目的と、目的達成の為に必要なプロセスを明確化することです。
具体的には、下記のポイントを抑えた上で投資を始めるのが有効だと思われます。
リターンを得たいタイミング
5年後なのか、10年後なのか、老後なのか
リターンを得たいタイミングによって適する物件は異なります。
インカムゲインかキャピタルゲインか
月々の収入(インカムゲイン)を得たいのか、売却時に大きな利益(キャピタルゲイン)を得たいのか、どちらを求めるかによっても選ぶべき物件は異なります。
リスクとリターンのバランス
いわゆる「攻める投資」なのか「守る投資」なのか、そのバランスによっても物件選定基準は異なってきます。
出口戦略を見据えた流動性の高い物件選定を行う
冒頭で述べたように、不動産には時間の経過に伴う価格変動リスクがあります。
- 土地価格
- 賃貸ニーズ
にフォーカスし、年数が経過しても価格が下落せず、売却しやすい物件を選ぶことが重要です。
まずは少額から始める
不動産投資は、経験値が成果に直結しやすく、再現性を持たせやすい投資です。少額から始めて、ケーススタディを蓄積しながら徐々に規模を拡大していくのも有効な手段です。
また、不動産投資信託(REIT)による擬似不動産投資を行う、という方法もあります。
自身で不動産を購入するのではなく、ファンドが不動産投資を行って得た利益の分配を受けるかたちなので、少額の投資で不動産運用のシミュレーションを行うことができます。
ただし、REITの運用資産は一般的な居住用不動産に限らず、物流施設やホテル、オフィスビル等多岐に渡るため、ご自身の不動産投資に活かせる部分を見極めることが必要です。
不動産会社調べは入念に
不動産は、水面下での取引が多く、また不動産業者と顧客との知識・経験量の差が激しいことから、情報の非対称性・不透明性がしばしば問題になっています。
大切なのは、信頼できる不動産会社を見つけ、パートナーとして共に資産を増やしていく協力体制を築いていくことです。
不動産投資に関する知識を身に付ける
とはいえ、不動産投資は基本的には自己責任で行うべきものです。パートナー選びは重要ですが、最低限の知識を身に付け、良し悪しの見極めができる目を養うことが必要です。
需要がかたい地域を見極める
- 売買の需要
- 賃貸の需要
共に底堅い地域を見極めることが、不動産投資で失敗しないためには最も有効な対策です。
土地価格や取引件数、賃貸供給戸数などのデータだけでなく、
- 人口推移
- 最寄り駅の乗降客数
- スーパーやコンビニなどの周辺環境
- 周辺の企業・大学
といったデータも需要の見極めに役立ちます。
収益シミュレーションをする
物件購入後のシミュレーションも重要です。
- 月々の収支
- 家賃の下落、空室の増加
- 5年後、10年後のローン残債
- 将来売却時の価格
といったポイントで、事業として成り立つかどうかの判断を行う必要があります。
ただ家賃下落率や空室率、ローン金利上昇率など、必要以上に厳しい想定をしてしまうと、基準を満たす物件がいつまでも現れず、何も購入できなくなってしまうといった事態にもなりかねません。
短期的なキャッシュフローに多少誤差が出たとしても、運用の安定性と、将来の出口戦略をしっかりと見据えることができていれば、失敗しない不動産選びは可能であると考えられます。
まとめ
不動産投資には価格変動、空室、修繕費用などのリスクが伴いますが、適切な物件選定とリスク対策によって、安定した資産運用が可能です。
エリアや建物の状態、賃貸ニーズを考慮し、長期的な視点で運用計画を立てることが成功の鍵となります。また、投資目的を明確にし、出口戦略を意識した物件選びを行うことでより有利な運用が実現できます。
事前の情報収集と慎重な判断を心掛け、確実な資産形成を目指しましょう。
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地域密着で長年不動産事業を行ってきた経験と知識を活かして、価値の落ちない土地を選定することができます。
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賃貸ニーズを捉えた立地・間取り選定・良質なプランニング
好立地にこだわって、全棟オリジナルでプランニングすることで、居住期間が長く、家賃が下落しづらいアパートを提供しています。
修繕状況・今後の修繕リスクの見極め
中古アパート事業においては、自社の建築部門・リフォームリノベーション部門と連携して、建物の状態を精査し、現在の修繕状況が適切か、今後の修繕リスクの見極めを行っています。
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