イールドギャップとは?正しく理解して不動産の基本をおさえよう

2022.09.02
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イールドギャップとは

不動産投資におけるイールドギャップとは、一言で表すと「物件の利回り」と「金利」の差のことです。

利回りとは物件の収益性を計る指標であり、金利とは借り入れに対してかかる利息を示す数値です。

そのため、不動産投資に関する書籍などにおいては、
しばしば「イールドギャップが大きいほど(=利回りが高く金利が低いほど)物件の収益性が高い・投資効率が良い」といった説明がなされていますが、
実は、必ずしもそうとは言い切れません。

なぜならば、不動産投資においては、

  • 修繕費などの運用コスト
  • 経年による建物価値の下落
  • 家賃下落
  • 空室率
  • 賃貸募集にかかる手数料
  • 借り入れ年数

といった複数の要因によって、運用期間中に得られる収益や、将来の売却時に得られる利益が大きく変動する可能性があるためです。

そのため、物件選定の際は、イールドギャップだけを判断基準とするのではなく、
物件の立地、間取り、設備、築年数、建物の修繕状況等といったポイントも加味して、物件の良し悪しを適切に見極めることが重要です。

(利回りが低くても、常に満室で家賃の下がりにくい物件であれば安定した収益をあげることができますし、
逆に、利回りが高くても、頻繁に修繕や空室が発生し家賃下落の激しい物件は思ったよりも収益があがらない、というケースは往々にしてあります)

正しいイールドギャップの考え方を理解できれば、物件選定の判断指標として有効に活用することが可能です。

上記の要因と組み合わせることで、適切な物件選びを行うことができる方法を解説していきます。

イールドギャップの基本的な算出方式

イールドギャップの算出には下記の計算式を用います。

実質利回り(%)-ローン金利(%)

イールドギャップを計算する時の注意点

イールドギャップを計算する際は、いくつかの要因に注意する必要があります。

以下、注意点について解説していきます。

表面利回りではなく、実質利回りで計算する

不動産投資に関する書籍などにおいては、しばしば「イールドギャップ=表面利回り(%)-ローン金利(%)」といった説明がなされていますが、この計算式は誤った解釈です。

なぜなら、表面利回りとはあくまで「物件価格に対する年間賃料収入の割合」を示す数値でしかないため、

  • 運用コスト
  • 購入時にかかる費用

が含まれておらず、実際に物件を運用した際の収益性を計る指標としては不十分であるからです。

実質利回りの計算には下記の計算式を用います。

(年間賃料収入-年間コスト)÷(物件価格+購入時コスト)×100(%)

例えば、以下の2つの物件をモデルケースとしてイールドギャップの計算をしてみましょう。

【物件①】

  • 物件価格:9,000万円
  • 年間賃料収入:540万円
  • 表面利回り:0%
  • 築年数:0年(新築)
  • 年間コスト:135万円(物件価格の5%)
  • 購入時コスト:300万円
  • 金利:5%
実質利回り 4.3%
計算式 (540万円-135万円)÷(9,000万円+300万円)

【物件②】

  • 物件価格:9,000万円
  • 年間賃料収入:720万円
  • 表面利回り:0%
  • 築年数:20年
  • 年間コスト:360万円(物件価格の0%)
  • 購入時コスト:600万円
  • 金利:5%
実質利回り 3.3%
計算式 (720万円-360万円)÷(9,000万円+600万円)

【イールドギャップ計算】

物件① 2.8%(実質利回り4.3%-金利1.5%)
物件② 1.8%(実質利回り3.3%-金利1.5%)

中古物件の場合、修繕費や空室損などの運用コストが多くかかるケースがあります。

また、建物の修繕状況によっては購入時に外壁塗装等のリフォーム費用がかかったり、登記費用や不動産取得税の減税が受けられず購入コストが多くかかったりするケースもあり、
表面利回りが高くても、実質利回りは低くなる可能性があるので注意が必要です。

「返済期間」を反映させて計算する

不動産は、物件の構造ごとに法定耐用年数が定められております。

金融機関は、基本的に残存耐用年数(法定耐用年数-築年数)をベースにして融資可能年数を算定するため、
築年数が経過しているほどローンの借り入れ可能年数は短くなる傾向があります。

法定耐用年数
木造 22年
軽量鉄骨 19年~27年
(鉄骨の厚みによって変動)
重量鉄骨 34年
RC 47年

ローン年数が長くなるほど年間のローン返済額は少なくなるため、月々の手取り収入は多くなります。

そのため、

  • 金利が高いが、ローン年数が長いため、月々の手取り収入は多い
  • 利回りが高いが、ローン年数が短いため、月々の手取り収入は少ない

といったケースが起こり得るのです。

例として下記2物件をモデルケースとして考えてみましょう。

※分かりやすいよう実質利回りではなく表面利回りで計算しています。

【物件①】

  • 物件価格:9,000万円
  • 賃料収入:540万円/年(45万円/月)
  • 表面利回り:0%
  • 築年数:0年(新築)
  • 構造:木造
  • 金利:0%
  • ローン年数:30年
  • ローン金額:9,000万円
  • ローン返済:2万円/月
賃料収入-ローン返済 11.8万円/月

【物件②】

  • 物件価格:9,000万円
  • 年間賃料収入:900万円(75万円/月)
  • 表面利回り:0%
  • 築年数:20年
  • 構造:軽量鉄骨(法定耐用年数27年)
  • 金利:5%
  • ローン年数:10年
  • ローン金額:9,000万円
  • ローン返済:8万円/月
賃料収入-ローン返済 ▲5.8万円/月

このように、物件②の方が金利が低く利回りが高いにも関わらず、融資年数が短いため月々の手取り収入は少なくなることが分かります。

実際は、運用コスト等を加味した実質利回りで計算するとより正確なシミュレーションができますが、
感覚的に、イールドギャップが大きくても融資年数が短いと月々の収益はあがりづらいということがお分かりいただけるかと思います。

より正確に計算するならローン定数K(単位%)を使う

「ローン定数K」とは「金利」と「ローン年数」で決まる指標で、借入金額に対する返済額の割合を表します。

ローン定数Kは次の計算で求めることができます。

年間返済額÷総借入金額×100(%)

年間返済額は、金利とローン年数によって決まるので、
「実質利回り」と「ローン定数K」の差を計算することで、ローン年数も加味したイールドギャップを求めることができます。

ローン年数が長い ローン定数Kが小さくなるので、イールドギャップは大きくなる
ローン年数が短い ローン定数Kが大きくなるので、イールドギャップは小さくなる

ということが分かります。

イールドギャップに目安はある?

おおよそ1.5%〜2.0%以上といわれている

あくまで物件選定の際の1つの指標に過ぎませんが、一般的にはイールドギャップが1.5~2.0%以上あると月々の収益は安定しやすいと言えます。

イールドギャップ以外にも物件の立地や周辺環境など、他の要素も考慮する必要がある

前述の通り、立地、間取り、設備、築年数、建物の修繕状況等といったポイントを抑えることで、

  • 修繕費などの運用コスト
  • 経年による建物価値の下落
  • 家賃下落
  • 空室率
  • 賃貸募集にかかる手数料

といったリスクを低減することができ、運用期間中に得られる収益や、将来の売却時に得られる利益が大きく変動する可能性があります。

また、イールドギャップは運用期間中の月々の収益性を計る指標に過ぎないので、
例えば、売却時に大きく利益をとることのできる物件であれば、必ずしも高いイールドギャップを追求する必要はありません。

特に不動産投資においては「土地」の資産価値に注目することが重要です。

土地は大きな価格変動がなく価値が一定的であるため、
運用期間中の手取り収入が少なくても、ローン残高を大きく減らすことができれば、
将来の売却時に土地価格とローン残高の差益で大きな利益をとることができるのです。

お値打ちな物件を購入することや、利回りの高い物件を購入することは、運やタイミング等の要素も必要になりますが、
低金利でローンを借りることは、自身の年収や金融資産を増やすことで実現することが可能です。

イールドギャップを最大化するためには、理想の物件を追い求めるよりも、自身のステージを上げより良いファイナンス条件を引き出す方が現実的な場合もあるため、
自身に合った投資戦略を選択していくことが重要です。

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五藤智典
株式会社不動産SHOPナカジツ Nagoya Lounge 支店長

1992年 愛知県生まれ 県立旭丘高校→神戸大学卒
2016年 (株)不動産SHOPナカジツ入社
〜2020年3月 大名古屋ビルヂング店
〜2021年5月 名古屋昭和店
名古屋駅前の店舗・高級住宅地である昭和区の店舗にて、
実需不動産のコンサルティング営業として200件以上の不動産売買に携わる。
「リアルな土地相場」「業者間のネットワーク」「不動産の実務ノウハウ」に関しての豊富な知識と経験を基に、安心安全な不動産取引を第一としている。

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