不動産投資の成功率・節税の嘘と本当
融資を活用して投資できる不動産投資は、レバレッジ効果(てこの原理)によって高い収益を見込むことが可能です。しかし、投資や資産運用の方法は、不動産以外にも株式投資、投資信託、暗号資産、REITなど多岐にわたります。
それでは、不動産投資の成功率はこれら他の投資手段と比べてどの程度なのでしょうか?本記事では、他の投資や金融商品と比較しながら、不動産投資の成功率について探っていきます。
不動産投資の仕組みについてわかりやすく解説
不動産投資は、アパートやマンションなどの不動産を購入し、中長期的に資産形成する投資方法です。安定した職業についていると融資を受けやすく、物件価格の1〜3割程度の自己資金と銀行融資を組合せることで、不動産投資を始められ、資産拡大を進めることが可能です。
不動産投資における利益享受の方法は大きく分けて2つあります。1つはインカムゲインで、「家賃収入-(借入返済+ランニングコスト)」の差分から生まれるキャッシュフローを指します。本業に加えて、副収入的な機能を持たせることが可能ですが、入居状況や築年数経過による家賃水準下落による影響を受けやすく、不確定要素が大きいことに注意が必要です。
もう1つはキャピタルゲインを指し、不動産の売買差益から生まれる利益を言います。必ずしも値上がりしている必要はなく、売却価格>ローン残債の状態であれば、利益を得られるケースが多い傾向です。(※売却時諸費用・ローン残高等に依る)
一方で、売却価格は地価変動による影響を受けやすいため、値下がりしにくい不動産を選ぶ必要があり、高度な目利き力が必要とされます。
不動産投資の方法には、物件を直接購入する「現物投資」と、プロに運用を任せる「不動産投資信託(REIT)」があります。あくまでもRIETは「投資信託」の位置付けとなるため、金融商品としての色合いが強く、株式投資と同じく、景気変動による影響を大きく受ける傾向にあります。
このように、不動産投資には色々な方法があります。自分の目標やリスク許容度に合わせて、適切な方法を選びましょう。
不動産投資の成功率はどれくらい?
不動産投資の目的は、資産形成や節税、売却益の獲得など多岐にわたります。「成功」をどのように定義するかが難しいため、一概に「成功率◯%」と表現することはできません。成功率に関する公式なデータは存在しない
不動産投資にはさまざまな目的がありますが、その成功率に関する具体的なデータは存在していません。不動産会社や公的機関も、投資の成功率についてのデータを公開していません。例えば、「毎月のキャッシュフローがプラスになる」ということを成功と定義した場合でも、キャッシュフローの計算には家賃収入のプラス要素だけでなく、ローン返済や入居付け費用などのマイナス要素も考慮する必要があります。
この計算が最終的にプラスになるかマイナスになるかは、投資家個人が把握しているかもしれませんが、その結果を報告する義務はありませんし、すべての投資家がその情報を公表するわけでもありません。そのため、キャッシュフローがプラスになっているかどうかという情報は集積されず、成功率を正確に把握することは困難です。
「成功率は一般に10%」といった主張をする人もいますが、それには特に根拠があるわけではありません。
不動産投資のアプローチ次第で成功率は大きく変動する
不動産所得に関するデータは、あくまで成功率を示すうえでの目安に過ぎません。自分が設定した目的を達成できれば、それは「成功」と言えるでしょう。目的を達成できるかどうかは、不動産投資への取り組み方次第です。不動産投資では、さまざまな局面で投資判断が求められます。例えば、売買仲介会社や物件の選び方、管理委託方法の決定や管理業者の選定、賃貸仲介会社の選び方や賃料設定、さらには修繕計画や出口戦略など、多くの重要な判断を行う必要があります。
どれか一つの選択が適切でも、それだけで不動産投資が成功するわけではありません。逆に、すべての投資判断がうまくいっても、自然災害や金利上昇といった予測不可能な事象によって、これまでの「成功」や「利益」が相殺されてしまうほどの「失敗」や「損失」を被る可能性もあります。
成功するためには、総合的な判断とリスク管理が重要です。
成功率を上げるためにはリスクを軽減することが重要
不動産投資にはさまざまなリスクがあるため、そのリスクを低減することが成功率を高めるには重要です。不動産投資の主なリスクとして、以下の5つが挙げられます。• 自然災害リスク
• 空室リスク
• 老朽化リスク
• 家賃下落リスク
• 滞納リスク
それぞれのリスクの詳細については、後述します。
他の投資と比較した際の成功率
それでは、他の投資と比較した場合はどうでしょうか。数多くの金融商品や投資先が存在しますが、ここでは不動産投資と比較されやすい他の資産運用と比較していきます。REIT(不動産投資信託)
REIT(リート)は、不動産に投資する投資信託の一種で、投資家から集めた資金で不動産を購入し、賃料収入や売却益を配当として分配する仕組みです。少額から始められ、流動性が高く、分散投資の恩恵を手軽に受けられるため、リスク回避がしやすい資産形成方法です。しかし、物件の所在地や条件、経済動向、金利変動などが利益率に影響します。運用は専門家が行うため、情報収集の手間が省け成功率が高い反面、手数料がかかり利回りが低くなるデメリットもあります。また、投資法人の経営悪化による元本割れのリスクもあります。
株式投資
株式投資は、企業の株を購入することで、その企業の業績に連動したリターンを得る投資方法です。成功するためには、市場の動向を正確に分析し、将来的な成長が期待できる企業を見極める必要があります。株式市場は短期的な価格変動が激しいため、日々のニュースや企業の業績報告をしっかりとチェックすることが求められます。株式投資は証券会社を通じて行われ、税制面の優遇措置としてNISA制度があります。NISAの成長投資枠を活用すると、年間240万円までの資産運用が非課税となり購入した株式の売却益や配当金も非課税となります。こうした優遇措置は資産運用において重要です。
しかし、株式投資にはリスクもあります。会社が不祥事を起こして上場廃止になると、資産価値がゼロになることがあります。また、日々の値動きが激しいため、値動きを確認しながら売買取引をする時間がない方には向きません。
投資信託
投資信託は、専門家が選定した株式や債券、不動産などに分散投資する商品で、初心者にも人気があります。リスクを分散できる反面、管理手数料などのコストがかかる点に注意が必要です。高い手数料は成功率を下げる要因となります。投資信託は証券会社を通じて行い、NISA制度のつみたて投資枠を活用すれば年間120万円まで非課税で資産運用が可能です。株式投資と違い、自分で投資先を選ぶ手間が省けますが、不動産投資のようにレバレッジをかけた運用はできません。
FX
FXは外国為替取引を指し、最もハイリスクな金融商品です。外国通貨の売買で利益を得るもので、自己資金にレバレッジをかけて少額から大きな金額を取引できます。不動産投資と同様にレバレッジを活用しますが、為替相場の大きな変動により損失も増大する点が異なります。ハイリスクハイリターンの投資で成功率は低く、失敗率は高いです。5年以内に相場から退場する投資家も多いと言われ、日本では成功率が特に低いとされています。
不動産投資における5つのリスク
ここでは不動産投資における主なリスクを5つご紹介します。リスクを完全に0にすることは難しいですが、軽減させることはできますので適切な対処もお伝えします。自然災害リスク
日本は自然災害が多い国であり、不動産投資においてもこのリスクは避けられません。地震、台風、豪雨、豪雪など、予測困難な災害に備えるには、損害保険への加入が重要です。また、物件選びの際は耐震性能や周辺のハザードマップを確認し、リスクの高い特徴(旧耐震、ピロティ構造など)を避けることが大切です。災害リスクの高い物件に投資する場合は、火災保険に加えて地震保険の検討も必要です。
これらの対策により、自然災害による損失を最小限に抑え、投資の安全性を高めることができます。
空室リスク
空室リスクは不動産投資の主要な課題です。賃料収入が途絶えると赤字経営に陥る可能性があるため、対策が不可欠です。効果的な方法として、適正な家賃設定、物件の清潔さ維持、適切な修繕・メンテナンスがあります。立地や設備の充実度に加え、間取りの強さを吟味することで、空室期間を最小限に抑えることが可能です。「賃貸ニーズに即した間取りであるのか」「競合物件はどの程度あるのか」「狭くて居住性は悪くないか」など多角的な分析が必要です。部屋を狭く作り、戸数を増やせば、表面利回りは高くなりますが、実運用面に目を向けると、なかなか入居が決まらず、苦戦するケースは珍しくありません。
これらの対策により、空室リスクを最小限に抑え、安定した収益を得ることができます。
老朽化リスク
不動産投資において老朽化リスクは避けられません。建物は経年劣化するため、計画的な対策が必要です。定期的な設備点検、保守、リフォームにより、賃料や需要の低下を最小限に抑えられます。10年に1度の大規模修繕を念頭に置き、現在と将来の収支バランスを考慮した予算計画が重要です。物件購入時は築年数や外観を確認し、過度に古い物件は避けるべきです。適切なメンテナンスにより、物件の魅力を維持し、長期的な収益性を確保することができます。
家賃下落リスク
家賃下落リスクは不動産投資において重要な懸念事項です。物件の老朽化や立地条件の悪化、人口減少、競合物件の増加などが原因となります。対策としては、駅近で利便性の高い物件を選ぶことや定期的なリフォームやリノベーションによる物件価値の維持、人口安定地域への投資、周辺の競合状況の確認などが効果的です。
これらの方策を通じて、長期的に安定した家賃収入を確保し、投資物件の価値を維持することが可能になります。慎重な物件選びと適切な管理が、家賃下落リスクを軽減するためには重要です。
滞納リスク
不動産投資において家賃滞納リスクは深刻な問題です。賃借人の居住権保護のため、家賃滞納があっても即座に退去を求めることは困難です。対策として、入居審査の厳格化が効果的で、収入や勤続年数、勤務先などを慎重に確認することが重要です。また、家賃保証会社の利用も有効な手段です。滞納が発生した場合、迅速な対応が不可欠であり、信頼できる管理会社の選択が鍵となります。家賃滞納保証サービスを提供する管理会社を選ぶことで、リスクをさらに軽減できます。これらの対策により、安定した家賃収入を確保し、投資計画の順調な進行を維持することが可能になります。
不動産投資で失敗しないためのポイント
不動産投資で失敗しないためには、単純な幸運や市場のタイミングだけに頼るのではなく、綿密な戦略立案、専門的な知見の蓄積、そして相場のリサーチなどが不可欠です。ここでは主なポイントを3つ解説します。不動産について常に情報収集を怠らないこと
不動産投資は長期にわたる取り組みです。失敗しないためには、投資開始時だけでなく、運用期間中も継続的に学習し、最新の情報を取り入れる姿勢にあります。他者の意見を無批判に受け入れるのではなく、自主的に収集した情報を主体的に分析することが重要です。現代では、インターネットやセミナー、新聞、専門誌など、多様な情報源から不動産関連の知識を得ることができますが、不動産投資は個別性が強いため、ネットやセミナーの通りに進めたとしても、そこに再現性はないため、注意する必要があります。
なぜなら、そこには「不動産投資の目的」「金融機関の支援体制」「不動産マーケット」「資産背景」「収入背景」が加味されていないからです。
(同時期かつ同じ年齢、同じ家族構成で、同じ資産背景で、さらに同じ収入状況で、同じ物件を同じ金融機関から融資を引くのであれば再現性はあると思いますが、現実的ではありません)
つまり、セミナーやネット情報を鵜呑みにするのではなく、「自分と向き合い、適切なアドバイスをくれる真のプロ」をパートナーにすることが失敗を避ける方法と言えます。
不動産投資の失敗事例を学ぶ
不動産投資の長い歴史には、数多くの投資家の経験が詰まっています。これらの先人たちが積み重ねてきた知恵や教訓は、新たな投資家にとって貴重な指針となります。特に、他の投資家が経験した失敗事例を研究することは、自らの投資戦略を磨くうえで非常に有効です。これにより、同様の誤りを避け、リスクを大幅に軽減することができます。
例えば、物件の価値を過度に楽観視することの危険性や、綿密な資金計画の必要性など、多くの重要な洞察を得ることができます。
過去の失敗事例を深く理解し、そこから得られた教訓を自らの投資戦略に取り入れることで、より堅実で成功の可能性の高い不動産投資を実現することができます。
物件の周辺環境や相場を徹底的にリサーチする
不動産投資の成否を左右する重要な要素が、物件選定です。成功への道を開くには、以下のような多角的な視点から物件を評価することが不可欠です。• 市場価格の適正性評価
• 都市計画や再開発プロジェクトの把握
• 立地条件の詳細な分析
• 周辺環境の質と生活利便性
• 交通アクセスの利便性
• 地域の将来性と成長ポテンシャル
これらの要素を総合的に分析することで、単に現在の収益性だけでなく、長期的な資産価値の上昇可能性も見極めることができます。
徹底的なリサーチと慎重な判断により、安定した賃料収入と資産価値の増加が期待できる優良物件を見出すことが可能になるでしょう。
まとめ
不動産投資は高い収益可能性とリスクを併せ持ちます。成功には綿密な計画、継続的学習、適切なリスク管理が不可欠です。また、空室、家賃下落、滞納、老朽化、自然災害など多様なリスクに対し、徹底的な調査と分析が重要です。不動産投資の目的や成功の定義は個人によって異なるので、必ずしも期待通りの収益が得られるわけではありません。そのため、専門家への相談が有効です。ワンストップサービスを提供する不動産会社に依頼することで、総合的なサポートを受けられる可能性があります。
ただし、最終判断は自己責任です。過去の失敗例から学び、常に情報を更新し、長期的視点で投資判断を行うことが重要です。興味がある方は、まず専門家に相談し、自身に適した投資方法を探ることをおすすめします。
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